麟の字香合について
麟閣の歴史
千利休が秀吉の怒りに触れて死を賜ったとき、利休七哲に数えられる茶人であった蒲生氏郷が利休の子少庵を会津に匿いました。その時、少庵が氏郷のために作った茶室が「麟閣」と言われています。
その後少庵は許されて帰京しますが 、その際の「少庵召出状」が表千家不審菴に伝えられております。
戊辰戦争に敗れ本丸御殿取り壊しの後、麟閣は市内の薬種店森川家に移築保存されておりましたが、市政90年を記念して平成2年(1990年)9月に元の場所に移築復元されました。
移築に先立ち、表千家 14代千宗左(而妙斎)お家元が、手ずから「少庵召出状」を麟閣の床に掛けて往時を偲ばれました。
奇しくも、利休没後400年にも当たり、また、少庵ゆかりの茶室ですので、鶴ヶ城内への移設完成時には表千家お家元が茶室開きをなさり、同時に表千家全国大会を会津若松市で開催されました。
麟の字香合
麟の字香合は、その全国大会の記念品として弊店で承り、製造した香合です。
材質は欅で、木目を生かしたすり漆仕上げにし、内側は金箔押しにしております。
蓋表の「麟」の字は、お家元の書を蒔絵にしたもので、シブイチ(四分一) の粉を蒔いております。
香合を納めた桐箱には「麟之字 香合」の文字を草書で手書きしております。
シブイチ(四分一)とは
シブイチ(四分一)とは、銀と銅の合金のことです。合金における銀の比率が四分の一である事から出来た名称です。
朧銀(ろうぎん、おぼろぎん)とも呼ばれ、金属工芸ではよく使われる材料です。
一般商品の蒔絵に使用することはあまりないのですが、お家元の書や少庵と氏郷の物語に相応しく、金や銀のきらびやかな輝きではなく、渋みのある仕上がりにするために工夫したものでございます。