会津では、塗の工程も丸物と板物は分けられそれぞれに専門化した塗師さんがいます。
丸物塗の中塗り作業風景です。
板物塗の下地作業風景です。
現在漆は殆どが中国産を使用しています。これは、国内産漆の生産量が少なく、また高価なためです。
中国の漆樹は、東南アジアの漆樹とは違い日本のものと植物学的な違いが殆どありません。
又、近年栽培や採取の技術が向上したので、昔のような日本産との大きな品質差は無くなりました。
そのため、特殊な用途を除いては、中国産漆の使用には問題が無いと考えています。
もちろん、将来のためにも国産漆生産の継続と増産は大事ですので、会津でもそのための取り組みがなされています。
会津塗の特徴は花塗(塗り立て)を主とすることです。
表面を研ぎ上げて鏡面仕上げにするロイロ塗とは違い、塗肌を活かした柔らかみのある仕上げになります。
花塗の場合には、自然な艶を出すためにアマニ油や荏油のような植物性乾性油を適宜加えた塗立て漆(朱合漆しゅあいうるし)を使用します。
その他、様々な変り塗も作られてきましたが、最近はあまり見られなくなっています。
塗立て漆(朱合漆)に顔料を混ぜることで様々な色漆が出来ます。
精製した漆は褐色がかった半透明ですので、暖色系の色はとても良く発色しますが、寒色系は色出しが難しく、そのため朱色、洗朱色(オレンジ系の明るい朱色)などが色漆の主流になります。
古代朱(こだいしゅ)
落ちついた朱色
本朱(ほんしゅ)
明るい朱色
洗朱(あらいしゅ)
オレンジ系の明るい朱色
黒
黒漆は顔料を混ぜず精製段階で鉄分と反応させて黒くします。
漆黒と呼ばれ、天然塗料ではとても貴重な色味です。
うるみ
朱漆や弁柄漆に黒漆を混ぜて出す色です。
赤褐色の落ち着いた味わいで、金色との相性が抜群です。
溜(ため)
朱漆や弁柄漆で赤く塗った上に半透明の漆を重ね塗りする技法で作ります。
やや透け感のある柔らか味の仕上がりになるため、食器類の塗色として好まれます。
漆は、塗り終わって硬化した段階では黒っぽくなってしまい、想定した色にはなりにくい性質があります。
時間と共に徐々に漆の透明感が増し、練り込まれた顔料の色味がくっきりとしてきます。
発色の過程をお楽しみ戴ければ幸いです。
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会津塗の工程と主な技法、用具など